音引き検索法について

Oka 式   音引きタイ語検索法

 「Oka式   音引きタイ語検索法」とは、岡滋訓著の「音で引く・タイ日実用辞典」と「音で引く・タイ語検索Book」の「音で引く」シリーズに使われている検索方法です。タイ文字を使わずに、耳で聞こえたナマの音からタイ語を検索する方法です。

 単に発音記号から検索するものとはコンセプトが全く違うため、それらとの混同を避けるため、 「Oka式」 とします。

「Oka式  音引きタイ語検索法」とは、

   耳で聞いたナマのタイ語を、タイ文字を使わずに検索できる

   とっても便利な検索法のこと

教室で先生が話す言葉は聞き取れるのに、普段ネイティブの話す音が聞き取れないという人には魔法のような検索法のはずです。

聞き取れないというのは、あなたのせいではありません。
 元々発音されている音が教科書通りじゃないのです。

日常の会話で、あなたは『先生』という単語をどのように発音していますか?

『せんせい』ですか?
 それとも『せんせえ』あるいは『せんせ』ですか?

この3つの発音、どれが正しいかは別にして、3つとも使っている、あるいは使ったことがあるはずです。
一つの単語なのに我々は3通りの発音をしているのです。

 そんな『先生』という言葉を町で耳にした外国人が意味を知りたくて辞書を引く場合、どんな引き方をするでしょう?
 最初から『せんせい』の項目を見て、『先生』を検索できるでしょうか? 
たぶん『せんせえ』あるいは『せんせ』の項目を検索するのではないでしょうか?
 耳から聞いた語としては、むしろその方が自然です。しかし、『せんせえ』・『せんせ』では『先生』を辞書で引けません。
 日本語を習う外国人にとって、『せんせい』で引いても『せんせえ』で引いても、あるいは『せんせ』で引いても『先生』が出てくるような辞書があったら、非常に便利なのではないか。そんな発想をタイ語に置き換えたのが、この「Oka式   音引きタイ語検索法」です。 

 音の欠落や発音のスピードの違いにより、同じ言葉でも違った聞こえ方をすることを前提に、それが日本人の耳にどのように聞こえるかに重点を置いて作成しています。声調の区別も有気音・無有気の区別も気にせず、ローマ字感覚で引くだけで、目的の単語が出てきます。

 男性が丁寧表現に使う khráp という単語があります。教室では khráp と習い、それが正しい発音です。 しかし、実際の日常会話では r が非常に弱く発音されたり、あるいは欠落してしまって、ほとんど kháp としか聞こえません。タイ語の音に慣れていないうちは khá としか聞こえないかも知れません。 

 また、たとえ正しく発音されたとしても、我々日本人の耳には khuráp と聞こえるかも知れません。 この kháp あるいは khá や khuráp と聞こえた音は、どんな辞書を引いても khráp は出て来ません。 

 この「Oka式   音引きタイ語検索法」は、 khráp が kháp と聞こえても khá あるいは khuráp と聞こえても khráp が引けるように構成されています。  
 このように、発音のされ方や聞こえ方によって、正しいとされる発音からずれて聞こえた音でも目的の単語が検索できるように構成されているので、検索のヒット率も相当高くなっています。   

 会話の中で意味の分からない『カイ』と聞こえるタイ語が出て来たとします。会話の内容から『距離』に関する言葉だと推測できます。これを辞書で引く場合、どんな過程が必要でしょう。 

 『カイ』と聞こえそうな単語をあげると次のような単語になります。
    kái (ガイド)/ kài (ニワトリ)/ khài (卵)/ khâi (熱)/ khǎi (脂肪)   
 この5つの単語を検索するだけでも、『カ』が有気音なのか無気音なのか、声調はどうなっているのか等を考えながら検索することになり、実際は5カ所以上の箇所を検索することになります。 しかし、どの単語も『距離』には関係なさそうです。
 更に、長母音が短く発音された可能性もあるので   kaai (身体)/ khaai (放つ)/ khàai (網)/ khǎai (売る)等も引くことになります。しかし、これも関係なさそうです。 タイ語を習い始めた段階では、この辺りが限界になってしまいます。少しタイ語になれていれば、 R  か  L が欠落しているかも知れないと気付き klai (遠い)/ klâi (近い)/ klaai (〜になる)/ khlai (垢)/ khláai (似ている)/ khrai (誰) 等を検索することになり、やっとそれらしい単語 klai (遠い)/ klâi (近い)  を探し当てることができます。 ここまで来るのに辞書のページを何度行ったり来たりしなければならないか。相当手間のかかる作業です。「Oka式   音引きタイ語検索法」では、この手間のかかる作業を1回の検索で済ましてしまえるように構成されています。 『カイ』と聞こえる単語は 『kai』 で検索すれば、上記の全ての単語が1回の検索で一覧できます。このように、既存の辞書とは検索スピードが格段に違います。

 その他、日本人にとって認識の難しい音でも、自分が一番近いと 感じた 日本語の音をローマ字に置き換えるだけで検索できるように構成してあります。 

使う規則は1つだけ!

    聞いた音をローマ字表記するだけです。
     日本語にない音は、その音に一番近いと 感じる 日本語の音に置き換える。
     従って、母音は[a・i・u・e・o]の5つの文字だけを使う。

 補足

  『聞いた音をローマ字表記する』とは、区別の難しい音や正しく聞き取るのが難しい音を、我々日本人の耳に慣れた音(ローマ字音)に統一するための規則です。従って、母音は、[ a・i・u・e・o ]の5つだけを使います。具体的に下記の通りです。

 1.  L は全て  r に換える。[ l と r の区 が難しいため]
          [例] [アライ]と聞こえた音は alai  も  arai  も arai にします。
                arai で引くと ˀa•rai (何)も ˀa•lài (部品)も出てきます。
以下の項目も同じです。
 2.  ɛ は e に換える。[ ɛ と e の区別が難しいため]
          [例] [ネ]と聞こえた音は ne も nɛ も ne にする。
 3.  ɔ は o に換える。[ ɔ と o の区別が難しいため]
          [例] [ノ]と聞こえた音は   no も nɔ も no にする。
 4.  ʉ は u に換える。[ ʉ と u の区別が難しいため]
          [例] [ヌ]と聞こえた音は nu も nʉ も nu にする。
 5.  ə は a か u に換える。
        [ ə は a  と u  の中間の音で、ローマ字に置き換える場合、自然に a  か  u のどちらかになるはずです。    どちらに置き換えても結果は同じです。]
          [例] pə̀ət と発音された音が、paat に近い音に聞こえれば paat で検索し、 puut に近い音に聞こえれば puut で検索します。
                 そのどちらで検索しても pə̀ət が出て来ます。
 6.  ガ行の音は g で表わす。
          [例] [ガイ]と聞こえた音は gai となり ŋai も kai も出てきます。
 7.    音節の最後に来た   ~ŋ   は   n に換える。
          [例] [ヤン]と聞こえた音は yaŋ と yan の区別が難しいので、どちらの音であっても yan で検索する。
 8.    『カ行』の音は無気音(k)と有気音(kh)の2つあるが、区 をせず全て k にする。
          [例] [カ]と聞こえた音は ka とkha の区別が難しいので、どちらの音であってもローマ字的に ka で検索する。
 9.    『タ行』の音は無気音(t)と有気音(th)の2つあるが、区別をせず全て t にする。
          [例] [タ]と聞こえた音はta とtha の区別難しいので、どちらの音であってもローマ字的に ta で検索する。
 10.   『チャ行』の音は無気音(c)と有気音(ch)の2つあるが、区 をせず全て ch にする。
          [例] [チャ]と聞こえた音は ca と cha の区別が難しいので、どちらの音であってもローマ字的に cha で検索する。
 11.  『パ行』の音は無気音(p)と有気音(ph)の2つあるが、区別をせず全て p にする。
          [例] [パ]と聞こえた音は  pa と pha の区別が難しいので、どちらの音であってもローマ字的に  pa で検索する。

 上記の規則は、聞いた音をローマ字的に書くと考えれば、特に記憶しなくても自然に変換作業ができるはずです。